新しい年、2019年が始まりました。今年は「平成」が終わり、新しい元号がスタートします。本年が良い年であること、そして来たるべき時代が、良い時代であることを願わずにはいられません。
目を世界に転じると、米中貿易摩擦が激しさを増し、世界経済の減速懸念から、昨年末には株価も大きく下がりました。また、米国や欧州での自国第一主義、ポピュリズムの台頭やイギリスのEU離脱問題など、世界的に不確実性が高まっています。
米中貿易摩擦は貿易戦争とも呼ばれていますが、中国は経済問題に止まらず、さらにはハイテク分野においても米国と世界の覇権を争うようになりました。中国の台頭については以前から言われていましたが、AIや5Gなどに注力する「製造2025」や宇宙強国などの国家戦略もあり、ハイテク分野でも驚くほどのスピードで米国を脅かす存在になっているようです。ですから、米国は安全保障に係る中国のハイテク分野での覇権を許すことはないと思います。言うまでもなく、市場経済、経済のグローバル化は米国が先頭になって進めてきたものですが、世界の工場、そして巨大なマーケットでもある中国は、そのグローバル化を追い風に発展を遂げ、一方で、その米国が保護主義、自国第一主義へと変質したことは皮肉な現実です。
中国の産軍共同体制は、米国を手本にしたものと言われています。米国のIT産業、ハイテク産業の発展は、DOD(国防総省)やNASAの存在が大きく関わってきました。そうした米国の産軍連携システムは、ハイテク強国へと急ぐ中国の恰好の手本になったのかもしれません。米国のIT産業やGAFA※1などが自然発生したベンチャー企業であるのに対して、中国ではハイテク産業と国家戦略との結びつきを強く感じざるを得ません。そのことが、知的財産権の侵害や技術移転の強要などもあって、中国のハイテク技術に対する不信感に拍車をかけているのでしょう。
ここに来て、中国経済の変調が報道されています。米中貿易摩擦以前から、株式担保融資(EPF)※2などの過剰債務問題や民営企業のビジネスマインドの悪化などが指摘されていましたが、さらに米国の経済制裁が追い打ちをかけているのです。いずれにしても、米中対立は予断を許さない状況がしばらく続くでしょう。一方、経済のグローバル化によって、米中をはじめとする各国の結びつきは複雑で強いものになっています。ですから、一度グローバル化に向かった経済を保護主義に戻そうとすることは、時計の針を逆に回すようなもので、世界経済にもたらす影響は計り知れません。中国は勿論ですが、米国自身もその影響と無縁ではいられないはずです。
現在、日本においては少子高齢化が大きな問題となっていますが、中国においても出生率が伸びていません。「一人っ子政策」が終わったにもかかわらずです。このままいくと、遠からず中国でも少子高齢化が大きな問題になり、今の勢いにも陰りが見えてくるのかもしれません。その時は、少子高齢化のフロントランナーである日本の知見を活かす機会が生まれることでしょう。
2019年、世界では私たちの想像を超えるような事が起きるでしょう。長く続いた米国一強体制から、中国や欧州、ロシアなどを含めた多極化という新しい国際秩序を模索する転換期であるのかもしれません。また、朝鮮半島でのパワーバランスにも変化の兆しが見えています。こうした国際情勢の変化、特に中国経済の変調は、日本経済に、そして地方の経済にも影響を与え始めています。変化の時代は、ピンチであると同時にチャンスでもあります。足元では、IOTやAIなどの新しいテクノロジーが多くのチャンスを生み出しています。今の時代こそ、目先の事象だけに眼を奪われず、チャンスを生かし知恵を生み出す人間力が求められていると思うのです。人間の可能性が新しい時代を切り開くのです。複雑な国際問題も、最後には人間の力がものを言うのかもしれません。「人間ファースト」こそ、その合言葉にふさわしいのではないでしょうか。
※1 GAFA・・・グーグル(Google)、アップル(Apple)、フェースブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)の4社のこと。
※2 株式担保融資(EPF)・・・証券会社や銀行が企業の株式を担保に行う融資。国際決算銀行(BIS)によれば、中国のEPFは2018年10月末で6.3兆元(約101兆円)。
上田真田まつり 武者行列
上田真田まつり 真田鉄砲隊演武
上田真田まつり 決戦劇
4月24日(日)に、「上田真田まつり」が催されました。武者行列には、大河ドラマ「真田丸」で真田昌幸を演じる草刈正雄さんをはじめ出演者の方々も参加して、花を添えていました。また、午後には真田鉄砲隊の演武や第一次上田合戦をモチーフにした決戦劇が行われ、その迫力ある演武に大きな歓声が上がっていました。
先日、グーグルの「アルファ碁」※1が世界的な棋士、李九段(韓国)に4勝1敗で勝ったことが報じられました。既にチェスや将棋ではコンピュータが人間に勝っていますが、囲碁はその局面や打つ手の多さから、コンピュータが人間に勝つのにはまだ10年はかかる、と言われていたものです。
「アルファ碁」のソフトウェアには、囲碁のルールが組み込まれていないそうですが、そこが、従来のルールに基づく人工知能(以下AI※2)とは大きく違っているところなのです。「アルファ碁」には、ディープラーニング(深層学習)※3という人間の脳をモデルにした技術が使われています。グーグルでは、このディープラーニングの技術を使って、AIが「ネコの顔」を識別できるようになったそうです。従来は、「ネコの顔」の特徴をコンピュータに教える必要がありましたが、コンピュータ自らが学習してルールを生み出すことを可能にしたのです。「アルファ碁」では、グーグルが持つ大規模なコンピューティング環境を活用して、3000万局という膨大な自己対局をこなしたといいます。仮に毎日100局指したとしても、約800年はかかる膨大な数です。こうした対局から様々な局面を学習し、世界的な棋士にも勝てるだけの実力を身に付けていったのでしょう。ただ、一方で、プロはまず打たない手を打つなど、その弱点も見えてきたようです。コンピュータ自らが学習したルールが人間には見えないだけに、その解析もかなり難しいようです。
AIというと、一見私たちには縁遠いようですが、私たちの身の回りには、既にたくさんのAI的なものが存在しています。例えば、身近なスマホの音声認識は、一昔前のものと比べると格段に進歩しています。さらに、Siriなど、アシスタントとしての人格を持っているようにもみえます。また、YouTubeやAmazonなどのサイトでは、閲覧者の好みを先取りした検索が行われていますし、ロボットも、最近ではサービスやコミュニケーションのツールなどに適用分野も広がっています。自動運転もAIの応用分野として、各社がその開発に鎬を削っているのはご存じのとおりです。もちろん、こうしたAIの全てが「アルファ碁」のようにディープラーニングが適用できるわけではありませんが、適材適所でその可能性が模索されはじめています。
今まで、AIはブームと停滞期を繰り返してきました。日本では1980年代に通産省が音頭をとって第五世代コンピュータプロジェクトが行われ、世界に先駆ける試みがなされました。ディープラーニングのもとになっているニューラルネットも、そのころに産声をあげたものです。ところが、残念ながら当時のコンピュータの能力は現在のものとは比べ物になりませんでしたし、ネットワークやクラウドそしてビッグデータなどももちろん存在してはいません。そのために、大きく膨らんだ夢も失望に変わってしまったのです。ところが、これまでの技術の進歩によって、ようやくAIを実用化するための基盤が揃ってきたように思われます。Androidの生みの親アンディ・ルービン氏も、「アルファ碁」は「AIの潜在能力のごく一部」に過ぎず、今後さらにその応用が加速するといっています。また、「クラウドコンピューティングこそAIの頭脳であり故郷」だとも言っています。
今後は、ニューラルネット専用のチップや学習機能のハードウェア化なども進み、新しいインフラであるクラウドコンピューティングやビッグデータなどがAIを支える基盤になることでしょう。サイバー空間の安全対策やセキュリティ問題などの課題もありますが、AIがこれからの世界を変える力になることはどうやら間違いなさそうです。AIを救世主にできるのか、それとも悪魔の使いにしてしまうのか、いずれにしても、私たち人類の「考える力」が試されそうです。
※1 「アルファ碁」・・・グーグル傘下のディープマインド社が開発した人工知能(AI)
※2 AI・・・Artificial Intelligence(人工知能)の略
※3 ディープラーニング(深層学習)・・・機械学習の手法のひとつ。多層化されたニューラルネットから構成されており、マシンが学習データから自動的に特徴やルールを抽出する。
以下の文献を参考にさせていただきました。
日経ビジネスONLINE 「AIの「人間超え」、その時トップ囲碁棋士は」 高尾紳路 (日経BP社) 2016/3/19
真田丸大河ドラマ館
上田城の石垣
3月に入り、信州上田も一気に春らしくなってきました。上田城に隣接して、この1月にオープンした真田丸大河ドラマ館の来場者も、既に6万人を超えたそうです。上田城の南側、今は駐車場や遊歩道になっていますが、真田氏が活躍した頃は、ここを千曲川が流れていたとのこと。石垣を見上げると、当時の上田城の堅牢さが偲ばれます。
前回は、問題解決では、まず発生している事象から、問題の全体像を正しく理解することが大切なことをお話ししました。そこで今回は、問題の原因を究明することについてお話ししてみたいと思います。
問題について理解を深めるためには、二つのアプローチがあります。一つは、前回お話しした発生した事象から問題を理解すること、もう一つが、今回取り上げる問題の原因を理解することです。これらのアプローチを使い分けることで、問題の本質的な原因(問題の真因)に迫ることができるのです。ところが、実際の問題解決においては、これらのアプローチを混同してしまうことが多いものです。それでは問題の本質に迫ることは難しくなってしまいます。また、問題の発生事象は目に見えますが、原因となると目で見ることは難しいものです。ですから、問題の原因を見つけるためには、ものごとを論理的に考え、想像する力が求められるのです。
問題の原因を見つける手法としては、「なぜなぜ分析」が有名です。もともとは、トヨタで「5なぜ」として始まったもので、5回「なぜ」を繰り返して原因を深堀し、問題の真因を見つけようというものです。今では、回数にはとらわれないで、真因にたどり着くまで原因の深堀を行います。原因らしいものを見つけると、それらを原因と勘違いしてしまい、結果的に、根本的な原因が見つからないことがあります。そんな「問題解決のワナ」がいたるところにあるのです。そこで、さらに「なぜ」を繰り返して原因の深堀を行い、問題の真因を見つけ出そうというのです。
「なぜなぜ分析」については、小倉 仁志氏が書かれた「なぜなぜ分析10則」に詳しく解説されていますので、興味がおありの方には一読されることをお勧めします。
ある所までは「なぜなぜ分析」で原因を深堀できても、なかなか真因までたどり着けないことがあります。そんなときは、「仮説検証」を用いてみると良いでしょう。真因と思われるものについて、「原因はAである」と仮説を立て、その仮説にもとづいて解決策を作るのです。そして、解決策の効果を確認することで、その仮説が正しいか検証を行います。もちろん仮説ですから、違っているかもしれません。その場合には、また新しい仮説を立てるのです。こうした仮説と検証のプロセスを繰り返すことで、問題の真因を見つけるのです。また、「なぜなぜ分析」を行うまでもなく、原因が想定できることもあるでしょう。そんな時には、最初から「仮説検証」を用いても良いと思います。
この様に、問題の真因を見つけるためには、試行錯誤を行うことが必要になるものです。実際の問題解決は、山あり谷ありで、始めから正解がある問題を解くような訳にはいきません。うまい試行錯誤のやり方を身に付ける、このことも、問題解決力を高めるためには大切なことかもしれません。問題には必ず真因があります。どんなに小さな問題でも、大きな問題でもそうです。実際に問題解決に取り組み経験を重ねることで、効果的な試行錯誤のやり方や思慮深さ、そしてどちらに向かえば本質的な原因に迫れるのか、といった方向感覚を身に付けることができると思うのです。そのことが、どんなに困難な問題に立ち向かう時にも、「考えるだけ正解に近づく」という自信を与えてくれるのではないでしょうか。
以下の文献を参考にさせていただきました。
「なぜなぜ分析10則-真の論理力を鍛える-」
小倉 仁志 著 (日科技連) 2009
信州国際音楽村のすいせん
信州国際音楽村
信州上田では、今、桜が満開です。急に冬の寒さが戻ったりもしましたが、信州国際音楽村では、満開のスイセンと桜のコラボレーションを楽しむことができました。
前回のコラムでは、知恵を生み出すためには、人の要素や人間的側面が重要な役割を担っていることをお話ししました。これらは、ヒューマンスキルとして、ロバート・カッツのスキルモデルにも位置づけられているものですが、そのイメージはもうひとつはっきりしていないようです。ヒューマンスキルが大切なことは分かっていても、それは持って生まれたものなのか、努力によって伸ばすことができるのか、伸ばせるとしたら、どうしたら伸ばすことができるのか、分かっているようで分かっていないのが本当のところではないでしょうか。そこで、今回のコラムでは、前回に続いてヒューマンスキルについてお話ししてみたいと思います。
私は、ヒューマンスキルは伸ばすことができるもので、誰でもそのタネを持っていると思っています。そのタネを上手に育てて、大きな実を実らせている人もたくさんいるのですが、その一方で、せっかく持っているタネをうまく育てられない人や、タネを持っていることに気づいていない人がいることもまた事実なのです。
では、どうしたらヒューマンスキルを伸ばし、知恵を生み出すことができるようになるのでしょうか。知恵を出すためには、考える力、思考プロセスを鍛えることが大切であると、以前お話ししました。私は、ヒューマンスキルの中心に思考力、考える力があると思っています。考えることは、その人の人間的な側面と深く関わっているものですし、ものごとを深く考えるためには、感情などの様々な影響をコントロールする必要があります。そうしたことから、思考力や考える力をヒューマンスキルの大切な要素として位置付けています。そして、思考力のまわりに5つのスキルを定義しています。これらのスキルもまた、人間的な要素と深く関わっており、いずれもビジネスパーソンにとって欠くことのできないものです。いくら考える力や思考プロセスを鍛えることが大切だと分かっていても、何を考えたらよいのか、どこで知恵を出したらよいのかが分からなければ、前に進むことはできません。これらの5つのスキルを開発することによって、知恵を出すためには何を考えたら良いのか、知恵の出しどころが分かり、考える力が触発されるのです。
私が挙げる5つのスキルを以下に示します。
成長力・・・成功や失敗した経験からものごとを学ぶとともに、自分に足りていないものを知り、必要な知識やスキルを身に付ける力。自己成長のためのエンジン。
コミュニケーション力・・・相手の考えや思いを傾聴し、理解する力。自分の考えや思いを相手に分かり易く伝え、表現し、相手の理解を促す力。
計画力・・・ものごとを計画的に進める力。目指すべき目標を定め、関係するメンバーと共に、その実現を目指す力。想定外の事象が発生した場合にも、柔軟に対応する。
問題解決力・・・問題自体を正しく把握し、その原因を見極めて問題解決を図る力。また、問題の解決に欠かすことのできない、関係者の合意形成を促進する力。
育成力・・・自分が与えている影響力に気づき、コントロールすることによって、他者の成長を促進する力。個人や組織の学習効果を最大化する力。
これらの5つのスキルを高めるためには、最低限の知識が必要になります。いわば、実践のための知識とでも言えるものです。そうした知識は、言われてみれば当たり前ということが多く、決して難しいものではありません。どちらかと言うと、私たちが日頃思っていることに近いものです。大切なのは、そうした、言われてみれば当たり前のことを実際に行うことができるかどうかなのです。また、これらのスキルはお互いに関連を持ち、それぞれがお互いを強め合うものです。ですから、いずれかのスキルを磨いていけば、他のスキルを獲得することも容易になるのです。職業や立場によって必要とされるスキルも違ってきますから、まずは自分が得意なものや必要なものから身に付けていけば良いと思います。
一見すると、コンセプチュアルなスキルと考えられている問題解決力や計画力をヒューマンスキルの範疇に置くことに違和感を持つ方もいらっしゃるかもしれません。ですが、問題解決やものごとを計画的に進めることを難しくしている要因の多くが、実は人間的なものであることを考えると、これらをヒューマンスキルの範疇に置くことも一理あるのではないでしょうか。考えるというと、頭で考えるものと思いがちですが、一方で、心で思うこと、思索することもあるのです。ヒューマンスキルは、そうした心の営みを、頭で考えることにつなげるためのスキルといえるのかもしれません。スキル開発が知識やテクニックに走り、ややもすると、人の心を動かせない「スキル倒れ」に陥ってしまうことを考えると、やはりスキルはヒューマンな世界に根ざす必要があると思うのです。
北向観音節分会
北向観音節分会
別所温泉北向観音で、毎年恒例の節分会が行われました。今年も、九重親方や女優の藤田朋子さんをはじめ、数多くの著名人が参加する盛大な豆まきでした。
前回は、中教審の大学入試制度改革についてお話ししました。そのなかで、現在の教育が「知識の暗記や再生に偏っている」ことに触れました。学校教育では、長い間、先生が生徒に講義形式でものごとを教え、その教育効果や理解の度合いは、テストや試験の点数で評価されてきました。また、高校や大学などの入学試験の仕組みも、そうしたテストの点数や偏差値が物を言う価値観を助長してきました。一昔前のように、欧米というお手本があって、追いつき追い越せで頑張っていた時代にはそれでもまだ良かったのかもしれませんが、今や追いかけられる立場に様変わりしており、従来の学校教育の弊害が目立ってきているのです。
教育が知識の獲得に偏ることの弊害は、様々なところに現れています。高校や大学の序列化、いわゆる学歴の問題をはじめ、知識や理解力を評価するあまり、安易に答えだけを求め、ものごとに疑問を持ったり、立ち止まって考えたりすることが疎かにされる傾向にあります。そのために、考える力や想像力を伸ばす機会が減り、他者を思いやる心の衰退を招いているように思われます。また、過去の実績や前例にとらわれるあまり、創造力やチャレンジすることを阻害してしまうこともあります。そうしたことが、学ぶ意味や目的、そして学ぶ喜びを見つけることを難くしてしまっているのかもしれません。
大前研一氏が著書「考える技術」の中で、日本とアメリカでの教育の違いについて述べています。大前氏がMIT(マサチューセッツ工科大学)で原子力を学び、ドクター(博士号)試験を受けた時のことです。答えは全て合っていたにも関わらず結果は不合格。ちなみに、試験問題は、月の上の架空の原子炉で、制御棒によって原子炉を停止させる際の炉心の温度上昇とその安全性について答える、というものだったそうです。なぜ不合格なのか、その理由を先生に尋ねると、「数字があっているだけで思考のプロセスがはっきりしていない。これはエンジニアとしてもっとも危険なこと。」という返事が返ってきたそうです。合格した学生たちは、「数字は違っていても、『安全かどうか』について論陣をはり、なぜ重力の小さい月の上で地球上と同じやり方をすると危ないのか、どうすればより安全になるのかという思考プロセスを解答用紙に書き込んでいた」のだそうです。また大前氏は「日本の試験では方程式に当てはめて、答えがあっているかどうかが試されるが、アメリカでは方程式そのものをゼロから導き出す力が問われる。」とも言っています。
社会に出ると、答えのない問題や答えがいくつもある問題をどう解くのかが問われます。そのためには、自分の頭でものごとを考える思考プロセスを身に付けていることが求められます。自分の思考プロセスを働かせることで、知識や情報から具体的な問題を解くための知恵やアイディアを生み出すことができるのです。学校の成績が良くて、知識を沢山身に付ければ、知恵を生みだす力も身に付くと思われがちですが、そうではありません。実際には、学校を卒業して社会に出てから、そのギャップに驚き、痛い思いや経験を通して知恵を生み出すすべを身に付けているのが現実なのです。知識は覚えること、記憶することで身に付けることができますが、知恵を生み出す力は頭で理解するだけでは、身につきません。実際にやってみて、成功や失敗をくりかえしながら身に付けていくものなのです。
学校教育でも、既に新しい取り組みが始まっています。前長野県教育長山口氏は、著書「信州教育に未来はあるか」の中で、そうした取り組みの事例や、今後教育が進むべき方向性を示しています。その中で、山口氏は、「理解し吸収する教育」と「解決する学び」についてふれています。もちろん、前者の教育が不要になるわけではありませんが、先生達が自ら課題や問題の解決に取り組み、学び成長することは、先生と生徒、教えるものと教えられるものという従来の関係から、共に学び合う、という新しい関係を生み出すチャンスでもあると思うのです。
複雑化し、先が見えないビジネスの現場では、様々な目標を達成し、問題を解決するための知恵が求められます。また、私たちの身の回りには、少子高齢化、人口減少や経済的格差など、深刻な問題もたくさん存在しています。いくら知識や情報を持っていても、それだけでは何も解決することはできません。課題や問題の解決策を模索し、私たちが進むべき道を見いだすこと、すなわち知恵を出すことが本来の目的であって、知識や情報はそうした知恵を出すための大切な手段なのです。そのためにも、従来の知識中心の教育から、知恵を生み出す学びの促進に舵を切ることが、学校教育のみならず、家庭や企業をはじめ社会全体において求められていると思うのです。
以下の文献を参考にさせていただきました。
「考える技術」 大前研一 著 (講談社) 2004
「信州教育に未来はあるか」 山口利幸 著 (しなのき書房) 2014
正月の烏帽子岳
2015年、新しい一年がスタートしました。本年も皆様にとって実り多い一年でありますよう願っております。
昨年の暮れに、中教審(中央教育審議会)から大学入試の改革案が答申されました。この答申では、2020年を目途に、高等学校教育、大学教育および大学入学者選抜の一体改革を進めるよう提言しています。従来の大学入試センター試験や教育システムは「知識の暗記・再生に偏りがち」との反省から、思考力・判断力・表現力の育成を重視して、主体的に様々な人々と協働する力を育むことがそのねらいです。私も、知識や偏差値に偏った教育の弊害やその根深さを実感しており、今回の答申に期待しています。
ビジネスの世界は日々変化しており、情報技術やネットワークの進化は、従来の産業構造を変革する勢いです。そうした中で、新しい事業やソーシャルメディアを駆使した新しい働き方が生まれつつあります。答申でも、「2011年にアメリカの小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業後、今は存在していない職業に就く」というキャシー・デビッドソン氏(ニューヨーク市立大学大学院センター教授)の予測が紹介されています。私が30数年前に飛び込んだソフトウェアの世界も、当時は全く新しい産業でしたから、氏の言葉にも説得力があります。
一方、大学を始めとした教育システムは、そうした変化や厳しさを増すグローバル競争に十分対応できていないように思えてなりません。グローバル競争の中で、企業は日々変化することを求められており、大学教育とのギャップもますます広がる傾向にあります。また、現代社会が抱える少子高齢化や地域活性化などの問題も様々なジレンマを抱えており、従来の常識やルールを超えた新しいアイディアや取り組みが求められています。このように、産業界や社会の教育に対するニーズもますます多様化しており、そうした様々なニーズに対応できる「人づくり」のための教育システムが求められています。
もちろん、大学には、研究機関としての役割もあります。そうした大学の役割を否定するものではありませんが、そのことが、知識に偏った教育観を助長してきたことは否めないと思います。また、大学受験が目的となった高校教育では、知識や問題を解くテクニックを覚えることに終始してしまい、ものごとを広い視野から考える力や、知識を活用して知恵を生み出す力を育むことが蔑ろにされているように思われます。
今回示された中教審の答申については、その方向性についてはおそらく多くの方が賛同されると思われますが、その具体的な制度設計にあたっては、課題も多く、様々な議論があるものと思われます。実際に教育に携わる人々も、従来の教育システムの中で育っているため、従来の教育観や価値観に少なからず囚われていることも事実です。また、教育をとりまく悪しき平等主義や教育現場のモラルハザードなど、答申の内容とは逆行する深刻な問題も山積しています。
とかく教育というと、学校での教育が注目されがちですが、思考力や判断力などを育成するためには長い時間が必要ですから、家庭や企業、地域社会の人づくりに果たす役割の大切さについても、再認識する必要があると思います。「教育なんて、自分には関係ない」と思っている私たち大人の言葉や行いが、若者の学ぶ意欲や新しいことにチャレンジする意欲を促すことも、削いでしまうこともできるのです。
いずれにしても、これからの時代を切り拓いていくのは若者たちです。これまでの常識や価値観が変わっていく中で、一人ひとりがその持てる力を開花させ、幸せで実り多い人生を生きるために、考える力や学ぶ力が求められてくることは間違いありません。そのためにも、教育の現場はもちろんですが、家庭や企業・地域社会においても、「人生は学び続けること」との思いを共有することが大切です。若者の「学ぶ心」を育むためにも、私たち大人も「学ぶ心」を持ち続けることが求められていると思うのです。
「学校で学んだことを、一切忘れてしまったときになお残っているもの、それこそ教育だ。」
アインシュタイン
雪の塩田平
雪原を走る別所線
この冬は、全国的に雪が早く、多くなっています。信州上田も、12月には珍しく、一面の雪景色です。
この間、考えることや考える力の伸ばし方について取り上げてきました。今回は、そのまとめとして、考えることの効果やメリットについて考えてみたいと思います。
考えること、思考力の大切さは、誰もが認めるところですが、考えることについて改めてとりあげると、「考えることなんて、なんで今さら」とか、「当然できているに決まっているじゃないか」などとお叱りを受けるかもしれません。ところが、自分の考える力に自信を持っている人は、案外少ないのかもしれません。考えることは、あまりにも身近すぎるために、かえって見えにくくなっているのかもしれません。
考える力を伸ばそうと努力する人がいる一方で、考えることに無頓着だったり、あきらめてしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。考えをまとめようとしても、考えが発散してうまくまとまらない。考えを進めていくと、分かっていると思っていたことが実はよく分かっていなかったりして、ますます考えることがいやになってしまう。まさに悪循環です。たしかに、考えることは面倒でイライラすることも多いものです。でも、それは一足飛びに高いバーを飛び越えようとしているからなのかもしれません。そうならないためにも、日頃から皆さんにあったペースで考えるトレーニングをしてみることも良いのではないでしょうか。
分かっていると思っていたことが、実はよく分かっていないことに気づくことも、今までより一歩踏み込んで考えている証拠なのかもしれません。分かっていなかったことについて、より知ろうとするば良いのです。このように、考える力が身についてくると、皆さんの行動や身の回りで様々な変化が起きてきます。そうした変化は、一見マイナスに見えるものであっても、実は皆さんにメリットを与えてくれるものなのです。その例をいくつかあげてみましょう。
・ものごとをより深く理解することができる。分かっていると思い込んでいたことでも、理解できていないことに気づき、理解を深めることができる。ものごとの表面的な理解に留まらず、様々な角度から見ることで、本質的な理解に近づくことができる。
・一時の感情やまわりの意見に振り回されることが少なくなる。好き嫌いなどの感情の動きを客観的にとらえ、そうした感情がなぜ起きたのかを知ることで、感情のエネルギーをコントロールすることができる。また、まわりの意見を無批判に受け入れるのではなく、その真意を知り、自分の考えを育てる参考にできる。
・自分の考えを押し付けようとしないで、言いたい事や考えを筋道立てて考え、相手にとって分かり易く伝えることを心がけるようになる。
・人の話をよく聞くようになる。自分の感情や思い込みのために、大切な内容を聞き漏らしたり、誤解することがなくなる。話し手に対して、理解と関心を持って接することができるようになる。
・自分の限界や足りないものを知り、視野や考えを広げることができる。新しい発想やアイディアなどを手に入れ、自分の可能性を広げることができる。
ここに挙げた他にも、考えることのメリットは数えきれません。考える力はすぐに身に付くものではありませんが、これらの変化を感じ、変化を味方につけることによって、さらに伸ばしていくことができるのです。誰かと会話する時はもちろん、ふと疑問が湧いた時やゆきづまりを感じた時など、考える力を伸ばす機会は、皆さんのまわりにたくさんあるのです。
真田幸村公出陣ねぶた
真田幸村公出陣ねぶた
近年のITツールの進化には、目覚ましいものがあります。身近なところではスマートフォンがそうですし、インターネット、クラウドなどのネットワーク環境もずいぶんと便利になりました。このコラムで取り上げてきた「考える力」も、こうしたITツールと組み合わせることによって、さらに強めることができるのです。
スマートフォンには、カメラと連動した便利なアプリが数多く出回っています。スーパーなどでもらってきたレシートの写真を撮るだけで家計簿が作れるアプリなど、一昔前のコンピュータでは、とてもそんな芸当はできませんでした。WordやExcelのテンプレートも、小規模なビジネスではそのまま使えそうなものもあります。また、PowerPointのSmartArtグラフィックには、階層、手順やマトリクスなどの構造を表現するための様々な図形が用意されています。これらは、プレゼングラフを作る際にとても便利なものですが、私たちがものごとを考える際のフレームワークとしても使うことができます。また、インターネットは、巨大な知識・情報バンクとして、私たちが考えを進める際に活用できることは言うまでもありません。
これらはほんの一例ですが、ITツールを使いこなすことで、私たちの「考える力」や知的生産性は格段に伸ばすことができるのです。もちろん、そのための基盤が私たちの「考える力」であることはいうまでもありません。
ところが、スマホ中毒やゲーム依存、メールでの言葉の乱れなど、悪い影響が出ている面もあります。残念なことです。スマートフォンを使うことで、かえって大切なものを見失い、ものごとを考えなくなってしまうとしたら、それこそ本末転倒です。知識や情報を手に入れると、それだけでなにか賢くなったような気持ちになってしまいますが、それらを自分なりに消化して初めて、自分の視野を広げ、知恵や価値を生み出すことができるのです。ITツールの進化は、知識や情報の入手を容易にする一方で、そうした誤解や混乱を助長しているのかもしれません。ITツールは道具であって、それらを使いこなすのはあくまでも私たちなのです。
AppleのSteve Jobs氏は、生前、社内でプレゼンテーションツールの使用を禁止していたと聞いたことがあります。プレゼンテーションツールを使うことで、かえって知的生産性が落ちる、というのがその理由だそうです。プレゼンテーションツールが商売道具である私にはたいへん耳の痛い話ですが、彼のシンプルな美意識がそうさせたのかもしれません。彼のプレゼンが卓越していたことはたいへん有名です。彼のプレゼンは、あくまでも商品を前面に出したシンプルなものでした。商品のすばらしさとそこに凝縮されたアイディアを、実際に商品を手に取りながら直接カスタマーに伝える。そのプレゼンが生み出す効果は絶大でした。
便利なITツールを手に入れた今こそ、そうした道具を使いこなして、私たちの「考える力」や知的生産性を向上させる、またと無いチャンスなのかもしれません。
水田を走る別所線
誰でも、ものごとを考える際には、いろいろな傾向やくせを持っているものです。考えるくせには、自分の考えを広げ、育てるものもあれば、その反対に、考えることを阻害してしまうものもあります。今回は、この考えるくせについて考えてみたいと思います。
考えるという行為は、その人の感情や思いなどの影響を受けやすいものです。どれだけ客観的な立場で考えようとしても、その人が持っている価値観や信念、今までに経験したことなど、様々なことが無意識のうちに影響を及ぼしているのです。普段は、こうしたくせに気づくことはありませんが、自問自答を繰り返して考えを深めていくと、自分が持っている考えるくせに気づかされることがあります。もし自分の考えるくせが望ましくないものであったとしても、そうしたくせは、長い間の積み重ねによって身に付いてきたものですから、簡単に変えることはできません。まずは、自分の考えるくせを知ることが大切なのです。
自分の考えるくせについて知ることは、私たちに考える力を伸ばすためのヒントを与えてくれます。もし、あなたの望ましくないくせに気づいたら、まずは、それらをありのままに認め、その上で、自分の考えるくせを補うことを考えてみましょう。
例えば、ものごとをネガティブに考える傾向が強い人は、ポジティブに、前向きに考えることを意識的に行うことで、ものごとの別の側面に気づくことができるかもしれません。もちろん、ネガティブに考えることはそれ自体悪いことではありませんし、ものごとを慎重に考えるという良い面もあります。ネガティブに考えることを否定するのではなく、ポジティブに考えることを自分のレパートリーに加えてみるのです。そうすることで、ネガティブであるという短所も長所に変えることができるのです。
また、主観的な考えに固執しがちな人は、周りの人の意見にもっと耳を傾け、相手の立場で考えることを心がけてみましょう。きっと、新しい発見や気づきがあるはずです。さらに、自分の意思や思いを強く持つことを、あなたの強みにできるかもしれません。
ものごとを表面的に捉えてしまう人は、もう一歩踏み込んで考えてみましょう。一歩踏み込むことで、分かったつもりでいたことが実は理解できていなかったことが分かり、ものごとをより深く理解することができるのです。
このように、自分の考えるくせを知り、それらを補うことによって、より柔軟な考えやより広い視野を手にいれることができるのです。そうした努力を続けていくことで、自分が克服したいと思っている考えるくせを、有意義なものの見方や考え方に変えていくことができるのではないでしようか。
前回、考える力を伸ばすためには、何よりも自分の力で良く考える事ことが大切である、とお話ししました。努力してこそ、身に付けることができるというと、なにか当たり前のことを言っているようですが、このことは、何人も逃れることはできないのです。成功者と言われる人たちも、その例外ではありません。成功者というと、能力や幸運にめぐまれていて、初めから成功を約束されているように思われがちですが、成功者にも不遇な時期があり、たくさんの失敗や修羅場を経験しているのです。逆境の中にあっても、信念をあきらめずに考えつづけ、行動したのです。いや、むしろそうした失敗や修羅場が彼らの感性を磨き、考える力を鍛えたのかもしれません。パナソニック(旧松下電器産業)の松下幸之助氏やホンダの本田宗一郎氏、京セラやKDDIを率いる稲盛和夫氏など、日本の著名な経営者が独自の哲学を生み出したことからも、そうしたことが垣間見えてきます。
ビジネスで起こる問題には、正解はありません。正しいか間違っているかではなく、どれだけ考えたか、考え抜いているかが問われるのです。私も、そうした場面をたくさん経験しました。考えること、さらにもう一歩踏み込んで考え続けることによって、私たちは答えに近づくことができるのです。自分の考えるくせを知ることで、自分の考えがおかしな方向に迷い込むことを防ぎ、考えを一歩一歩深め、答えに近づいていくことができるのです。
真田まつり(真田十勇士)
前回、考えることの大切さについてお話ししました。考える力は、ヒューマンスキル共通の基盤になるもので、円滑なコミュニケーションを実現したり、様々な問題の解決策を見出したりする際に、とても役に立つものです。今回は、そんな考える力を実践的に身につけ、伸ばすことについて考えてみましょう。
前回もお話ししましたが、考えることは意識して行っているかどうかは別として、誰でも日々行っていることなのです。でも、いざ改めて自分の考えをまとめようとすると、なかなか思うようにはいかないものです。そんな経験をお持ちの方はたくさんいらっしゃることでしょう。
考える力を伸ばすためには、日頃から良く考えることにつきます。知識を増やせば、考える力も自ずと伸びていくもの、と思われがちですが、どうも知識を増やすことと、考える力を伸ばすことは違うもののようです。知識を増やすだけでは、考える力は身につかないのです。考える力を伸ばすためには、考えるための練習が必要です。じっくり考えることの積み重ねが、考える力を伸ばしていくのです。
企業において、社員の考える力を伸ばす機会を作っている例があります。ホンダでは、「ワイガヤ」と呼ばれる泊り込み合宿があるそうですが、そこでは、三日三晩、徹底的な議論が行われるのだそうです。そこでは、新入りの技術者も、「で、あなたはどう思う?」と繰り返し問われ、自分の頭で考えることを訓練されるのだそうです。もちろん、生半可な意見や借り物の考えは通用しません。三日三晩、ほとんど議論漬けなので、三日目ともなると、形式的で通り一遍の議論はなくなり、本音がぶつかり合い、本質にせまる議論になるのだそうです。このように、一見回り道とも思える取り組みが、ホンダの企業文化を支えているのかもしれません。詳しくは、ホンダでエアバックの商品化に携わられた小林三郎氏の参考文献をご覧頂ければと思います。
もし、あなたの職場に、このような議論や考える訓練の場があれば言うことはありません。また、あなたのまわりの厳しい上司や先輩もこうした訓練の場を提供してくれている、と考えてみたらどうでしょう。いずれにしても、大いに活用してあなたの考える力を鍛えることをお勧めします。もしそんな訓練の場が身近になければ、あなた自身で、考える機会を作ってみると良いでしょう。じっくり考える時間を作ってみるのです。短時間でかまいません。テーマは、あなたの身近な問題や課題など、どんなことでもかまいません。答えを出すことを急がずに、自分の考えを整理するつもりで考えてみましょう。
自分の考えが少し形になってきたら、自問自答を行って、あなたの考えを育てていきます。例えば、考えの筋道は通っているか?考えは足りているか?なぜ、自分はそう考えるのか、その裏付けはなにか?など、厳しい上司になったつもりで、自分の意見を叩いてみるのです。そして、それらの質問に答えるために、もう一歩考えを深めてみましょう。そうしたら、また叩いてみるのです。このようなプラクティスを繰り返すことで、あなたの考えや思いが少しずつ形を現してくるのです。
考えることは、様々な試行錯誤を繰り返しながら、自問自答のプロセスを創り出していくことなのです。考えることを通してあなたの自問自答のパターンを増やしていくことが、考える力を伸ばすことにつながるのです。考える力を身に付けるためには少し時間がかかりますが、若い皆さんには十分時間があります。今から、あなたにあったペースで、考えること、自問自答を繰り返していくことが肝心なのです。
次の文献を参考にさせていただきました。
ホンダ イノベーションの神髄 小林三郎 著 (日経BP社)