信州上田もすっかり春めいてきました。このところ初夏を思わせる暖かさで、桜の開花も早まりそうです。今年も、「上田城千本桜まつり」が4月7日(土)~4月22日(日)に行われます。上田城の夜桜もまた格別です。
今回も前回に続いて、「働き方改革」について考えてみたいと思います。前回は、「働き方改革」をマクロ的に捉えたお話しでしたが、職場での「働き方」を取り巻く状況は実に様々です。個別のケースを見てみると、また違った景色が見えてくるのかもしれません。
もしもあなたがマネジャーで、部下に残業を頼むとしたら、仕事ができる社員とそうでない社員のどちらに頼むでしょうか?多くの方が、仕事ができる人に頼みたいと思うのではないでしょうか。また、やる気のある人とそうでない人はどうでしょう。そんなこともあって、職場では、残業はやる気のある社員や有能な社員など、特定の社員に偏ってしまいます。このような偏りが行き過ぎると、長時間残業や過労死など不幸な事態を招きかねません。
また、マネジャーが率先して残業している職場もあるでしょう。上司が帰らないので、仕事が終わっても帰れないという若い社員も多いのかもしれません。マネジャーが仕事を抱え込んでしまっているのかもしれませんが、この場合、マネジャーが本来行うべき仕事が出来ているのか疑問です。マネジャーが忙しくしていると、職場に目が行き届かなくなり、様々な課題が手つかずになってしまいます。また、「働き方改革」を単に残業を減らすことと考えているマネジャーも問題です。マネジャーから「早く帰れ」と言われれば、喜んで仕事の手を抜いてしまう社員がいるかもしれません。その結果、誰かの残業を増やすことにもなりかねません。いずれの場合にも、マネジャーがどれだけ本気で残業を減らそうとしているか、その意思と力量が問われているのです。
一律の残業規制は効果もあるのでしょうが、もちろんそれで全ての問題が解決する訳ではありません。仕事量の適正化や非効率な業務の見直しなど、残業を減らす具体的な取り組みが行われなければ、仕事を家に持ち帰ったり、サービス残業のような目に見えない残業を増やすことにもつながりかねません。また、深刻な人手不足の職場では、仕事がまわらずに、会社自体の存続も危ぶまれることになってしまいます。
Business Insider Japanが行ったアンケート調査*によれば、職場やあなたの「働き方改革」への取り組みについては、「かけ声はあるが、実態は変わっていない」が34%と最も多く、「取り組みは特にない」が23%で続いています。また、「一切関係ない」との答えも1割近くあり、職場での取り組みはまだまだのようです。
職場にはそれぞれ固有の課題があります。今回のテーマである「働き方改革」を巡っても、職場にある様々な課題が浮き彫りになってくることでしょう。そうした職場の現実や課題をマネジャーが正しく認識して、改善のために知恵を絞ることが必要なのではないでしょうか。そうした課題を解決することはマネジャーの本来の役割なのですが、どうも問題の原因の多くがマネジャー自身に起因しているのが現実のようです。マネジャーが本気になれば、社員の知恵や力も集まってきます。マネジャーの気づきが、職場の「働き方」を改革して、より生産的な働き方、マネジャーと社員のより生産的な関係を生み出すことにつながると思うのです。
「勢いのあるところ、必ず必死のひとりがいる。」相田みつを
*「「終わるわけない仕事量」」若手488人が挙げる残業減らない理由トップ5 :「上司は仕事以外の人生がない」との声も Business Insider Japan 2018/3/16