問題の解決策を見つける

別所温泉

別所温泉

別所温泉 石湯

別所温泉 石湯

 

信州上田駅から上田電鉄別所線で30分程のところに別所温泉があります。別所温泉の外湯には、木曽義仲ゆかりの「大湯」、円仁慈覚大師が入ったと伝わる「大師湯」、そして「石湯」があります。「石湯」は、池波正太郎氏の「真田太平記」に、真田幸村(信繁)と忍びの者お江が出会う隠し湯として描かれています。以前は、文字通り岩の割れ目からお湯が沸き出ていたそうです。

 

前回は、問題の真因を見つけることについてお話ししました。問題の根本的な原因、すなわち真因を見つけ出すことは、問題を解決する上で大切な知恵の出し所です。問題毎にその真因は様々ですが、愚直に「なぜ」を繰り返して問題の原因を深堀することで、真因にたどり着くことができるのです。そこで今回は、問題の真因を解決策に結びつけるポイントについてお話ししてみたいと思います。

問題の真因を見つけ出すことができれば、多くの問題は解決することができます。問題を解決することは問題の真因を取り除くことですから、問題の真因が分かれば、問題の解決策や再発防止策は容易に見つけられると思います。見つかった解決策は、実際に行う前に、次の様な確認を行ってみると良いでしょう。

まず、この解決策によって、当初の問題は根本的に解決できるのか確認します。もし、問題が解決できそうになければ、真因が違っているのか、あるいはまだ別の真因が隠れているのかもしれません。原因分析に戻って再検討してみましょう。

次に、解決策は実際に行うことが可能か、その実現可能性について確認してみましょう。どんなに理想的な解決策であっても、実際に行うことが難しければ、絵に描いた餅になりかねません。あくまでも、現実的な解決策を見つけることが大切なのです。もちろん、問題を解決するのですから、多少の困難やチャレンジは良しとしましょう。

これらの確認を行うことで、解決策の誤りや見落としに気づくことができますし、より効果的な解決策を見つけることができるのです。

 

ビジネスの現場や私たちのまわりで起きる問題には、もっと複雑なものもあります。解決策を行うことで新しい問題を引き起こしてしまうことや、別の問題の解決を邪魔してしまうこともあります。また、もともと潜んでいた利害対立に火をつけてしまうかもしれません。そのために、問題解決の努力が思いがけない反発に遭ってしまうこともあります。苦労してたどり着いた解決策であればある程、その解決策に固執してしまい、かえって問題をこじらせることにもなりかねません。

では、この様なことを防ぐためにはどうしたら良いのでしょうか。こうした事態は、解決策の持つ副作用を想定していなかったか、想定していても、その副作用を過小評価していたことに起因しているのかもしれません。ですから、解決策を見つける際に、その副作用について検証しておくことはとても大切なことなのです。もし副作用があると分かれば、もちろん、副作用が無いか少ない解決策を探すことになるのですが、どうしても副作用が避けられないこともあるでしょう。そのような場合には、副作用を打ち消すための方策や、反対意見を説得するための方法について検討することが必要になるかもしれません。

また、あらかじめ問題を把握する際に、その問題に潜在的な利害対立が存在していないか吟味しておくことも大切です。利害が絡んだ問題を解決することには、大変な困難が伴うものです。特に問題の当事者が聞く耳を持たず自分の主張を言い張るだけとなると、知恵やアイディアではとても解決できません。然るべき専門家に相談する必要があるのかもしれません。

私は、どんな問題であっても、それらを解決することは、最後は人の問題に帰結すると思っています。例えそれが技術的な問題でもそうですし、専門家の助けが必要な場合でも同じことが言えると思います。どんな解決策でも、その影響を受ける人達に大なり小なり変化を求めるものです。問題に関係する人達が、解決策がもたらす新しい価値観や環境などに順応できて始めて、問題は解決できると思うのです。

一方で、人は変化を望まないものです。頭では分かっていても、無意識に現状を維持しようとしてしまいます。せっかくの解決策を絵に描いた餅にしないためにも、人の心に変化の種を撒くことも、問題を解決するためのまたひとつの知恵の出し所なのかもしれません。

 

※円仁慈覚(えんにんじかく)大師

比叡山延暦寺の第三代座主。最後の遣唐使として唐に渡る。北向き観音堂建立のため、当地を来訪された。

 

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