葛飾北斎に思う

北斎館

北斎館

岩松院

岩松院

先日、小布施を訪れる機会がありました。小布施というと栗で有名ですが、また、葛飾北斎の町としても有名です。平日にも関わらず、多くの観光客でにぎわっていました。「北斎館」で「北斎漫画」や祭屋台の天井絵などを見てから、岩松院の天井絵「八方睨み鳳凰図」を鑑賞しました。するどい目力に、心の中まで覗かれているうな、そんな気分になりました。いずれも、ぜひ一度見たいと思っていましたので、時間を忘れて見入ってしまいました。

 

言うまでもなく、葛飾北斎は、「富嶽三十六景」などで有名な江戸時代の浮世絵師です。また、ゴッホをはじめ、世界の多くの画家や音楽家に影響を与えたと言われています。

北斎が「北斎漫画」を描いたのが50歳代、「富嶽三十六景」は60歳代から70歳代の作品です。いずれの作品も、まったく年齢を感じさせません。「北斎漫画」には約4,000点もの様々な風物や人物などが描かれていますが、これらは時にコミカルであり、現代のイラストやポップアートにも通じるものがあります。

葛飾北斎が小布施を訪れたのは計4回、いずれも80歳を超えてからと言われています。岩松院の「八方睨み鳳凰図」は4回目に訪れた時、北斎88歳から89歳にかけての作品だそうです。江戸から小布施まではざっと260Km。老人にとっては、厳しい旅であったに違いありません。晩年、自らを「画狂老人(がきょうろうじん)」と呼び、生涯、絵画に対する熱い思いを抱き続けた北斎。そんな思いが小布施までの長旅を支えたのでしょう。

葛飾北斎の人生に思いを馳せると、人の持つ可能性について考えさせられます。人が成長する力には、年齢は関係ないのかもしれません。何かを目指したり、何ものかになりたいという強い思いを持ち続けていれば、いくつになっても成長することができるのでしょう。人は、年を重ねると、できないことをとかく年齢のせいにしがちです。もちろん、体力など、若い人にはかなう訳がありませんし、年齢とともにできないことが増えてくるのも事実です。でも、年齢を重ねているからこそできること、若者にはとても真似のできないことがあるのも事実です。

北斎は、90歳で人生の幕を閉じますが、死に臨んで、こんな言葉を残しています。

「天があと5年の間、命保つことを私に許されたなら、必ずやまさに本物といえる画工になり得たであろう」

最期まで、さらに上を、本物を目指していたのです。

北斎の様にはなれないにしても、いくつになっても成長する心を失わずにいたいものです。

小布施の街並み

小布施の街並み

 

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