上田電鉄別所線に新しい仲間が増えました。真田幸村の赤備え鎧をイメージした2両編成の電車「さなだどりーむ号」です。この愛称は、島根県の高校生からの応募によるものです。塩田平を走る「さなだドリーム号」、力強さが感じられます。
前回のコラムでは、ヒューマンスキルの「考える力」と5つのスキルついてお話ししました。繰り返しになりますが、5つのスキルとは、「成長力」、「コミュニケーション力」、「計画力」、「問題解決力」そして「育成力」です。ヒューマンスキルは人間力とも呼ばれ、コミュニケーション力や向上心、積極性やリーダーシップなどのことを言います。最近では、困難な課題に立ち向かうチャレンジ力や変化への対応力なども人間力として注目されています。これらはその人の人となりによるところが多く、生まれつき備わっているものと思われがちです。もちろん、生まれつき人間力が優れている人もいるのでしょうが、と同時に、経験や努力によって伸ばすことができるものでもあるのです。
5つのスキルのうち、ヒューマンスキルに直接関係がありそうなのは、「コミュニケーション力」、「成長力」、そして「育成力」でしょうか。残るのは、「計画力」と「問題解決力」の2つですが、前回のコラムでもお話ししましたように、どちらも一般的にはコンセプチュアルスキル(私は、ビジネススキルと呼んでいます。)に位置付けられるものです。なぜ、それらをヒューマンスキルとしているのかと言いますと、以下の3つの理由が挙げられます。
第一の理由は、私たちが生きている現代社会やビジネスの世界は、変化が激しく、日々複雑化していることです。そのために、ものごとを計画的に進めたり、様々な課題や問題を解決するためには、小手先のテクニックやノウハウでは歯が立ちません。自分の頭で考え抜くことや、その考えにもとづいて判断し行動することが必要なのです。また、いくら専門的なスキルを身に付けていても、それだけでは複雑に絡み合った問題を解決することは難しいものです。コミュニケーション力や、信頼感などの人間力が求められる問題も増えているように思います。また、計画力や問題解決力の基本が身に付いていなければ、自信も生まれず、困難な課題にチャレンジしたり、激しい変化に対応することもできません。
二番目の理由としては、ヒューマンスキル自体が漠然としていることが挙げられます。そのため、ヒューマンスキルを伸ばすには何をすれば良いのか、よく分からないのが現状ではないでしょうか。どんなスキルも努力することなしに手に入れることはできませんが、どんな努力をすれば良いのか分からなければ、努力のしようもありません。そこで、計画力と問題解決力を含めた5つのスキルを明示することによって、ヒューマンスキルが手の届くものになると思うのです。
三番目の理由ですが、私たちの計画力や問題解決力を弱めているものは、実は、私たちの心の中に潜んでいる、ということが挙げられます。「問題は解決したいが、できれば自分からは動きたくない。」「自分がやらなくても、きっと誰かが解決してくれるはず。」「計画どおりにものごとが運ぶわけがない。」等々、頭では分かっていても、体が動かないことも良くあることです。そのために、問題解決の機会を逃してしまい、せっかくの努力が成果につながらないことにもなりかねません。ですから、ヒューマンスキルと計画力、問題解決力とは、切っても切れないものなのです。
人は環境の動物と言われています。与えられた環境において、さまざまな経験を通して学習し、成長していくものです。「一期一会」という言葉がありますが、日々の出会いや体験はたった一度だけのものです。そうした身の回りの出来事に全力で取り組み、その経験を振り返ることが、生きた学習であり、学びなのです。こうした学びを日々積み重ねることで、今日の経験や失敗を明日の成功につなげ、自分には無理に思える能力やスキルを身に付けることができるのです。身の回りの出来事に、ただ身を委ねているだけでは学びは起こりません。そのことが、同じ経験をしても、伸びる人と伸びない人の差を生むのです。また、どんなに良い事でも、人から言われてやることには身が入りませんし、身にはつき難いものです。自発的にものごとに取り組むことも、ヒューマンスキルを伸ばす上で大切なことなのです。
5つのスキルは、お互いに関係しています。思考力が、5つのスキルを強めることはもちろんですが、5つのスキルは、お互いに補い合うものです。ヒューマンスキルを開発する際には、5つのスキルのうち、皆さんにとって、最も必要なものから取り組まれたら良いでしょう。必要性(ニーズ)こそが成長をもたらすのです。あきらめず、頑張りすぎず、自分にあったペースで一歩一歩積み重ねていけば、いつか大きな収穫が得られるのです。誰から言われたのでもない、自分のための学びのプロセスを創り出すことが、皆さんのヒューマンスキルを育てていくことにつながるのです。無理をせずに、少しずつ皆さんにあったペースでトライしてみましょう。
ヒューマンスキル研究所のセミナーも、そうしたきっかけづくりの場として活用していただけたらと思っています。無料のセミナーもありますので、一度参加されてみては如何でしょうか。