ディープラーニングとAI

上田真田まつり 武者行列

上田真田まつり 武者行列

上田真田まつり 真田鉄砲隊演武

上田真田まつり 真田鉄砲隊演武

上田真田まつり 決戦劇

上田真田まつり 決戦劇

4月24日(日)に、「上田真田まつり」が催されました。武者行列には、大河ドラマ「真田丸」で真田昌幸を演じる草刈正雄さんをはじめ出演者の方々も参加して、花を添えていました。また、午後には真田鉄砲隊の演武や第一次上田合戦をモチーフにした決戦劇が行われ、その迫力ある演武に大きな歓声が上がっていました。

先日、グーグルの「アルファ碁」1が世界的な棋士、李九段(韓国)に4勝1敗で勝ったことが報じられました。既にチェスや将棋ではコンピュータが人間に勝っていますが、囲碁はその局面や打つ手の多さから、コンピュータが人間に勝つのにはまだ10年はかかる、と言われていたものです。

「アルファ碁」のソフトウェアには、囲碁のルールが組み込まれていないそうですが、そこが、従来のルールに基づく人工知能(以下AI※2)とは大きく違っているところなのです。「アルファ碁」には、ディープラーニング(深層学習)※3という人間の脳をモデルにした技術が使われています。グーグルでは、このディープラーニングの技術を使って、AIが「ネコの顔」を識別できるようになったそうです。従来は、「ネコの顔」の特徴をコンピュータに教える必要がありましたが、コンピュータ自らが学習してルールを生み出すことを可能にしたのです。「アルファ碁」では、グーグルが持つ大規模なコンピューティング環境を活用して、3000万局という膨大な自己対局をこなしたといいます。仮に毎日100局指したとしても、約800年はかかる膨大な数です。こうした対局から様々な局面を学習し、世界的な棋士にも勝てるだけの実力を身に付けていったのでしょう。ただ、一方で、プロはまず打たない手を打つなど、その弱点も見えてきたようです。コンピュータ自らが学習したルールが人間には見えないだけに、その解析もかなり難しいようです。

 

AIというと、一見私たちには縁遠いようですが、私たちの身の回りには、既にたくさんのAI的なものが存在しています。例えば、身近なスマホの音声認識は、一昔前のものと比べると格段に進歩しています。さらに、Siriなど、アシスタントとしての人格を持っているようにもみえます。また、YouTubeやAmazonなどのサイトでは、閲覧者の好みを先取りした検索が行われていますし、ロボットも、最近ではサービスやコミュニケーションのツールなどに適用分野も広がっています。自動運転もAIの応用分野として、各社がその開発に鎬を削っているのはご存じのとおりです。もちろん、こうしたAIの全てが「アルファ碁」のようにディープラーニングが適用できるわけではありませんが、適材適所でその可能性が模索されはじめています。

今まで、AIはブームと停滞期を繰り返してきました。日本では1980年代に通産省が音頭をとって第五世代コンピュータプロジェクトが行われ、世界に先駆ける試みがなされました。ディープラーニングのもとになっているニューラルネットも、そのころに産声をあげたものです。ところが、残念ながら当時のコンピュータの能力は現在のものとは比べ物になりませんでしたし、ネットワークやクラウドそしてビッグデータなどももちろん存在してはいません。そのために、大きく膨らんだ夢も失望に変わってしまったのです。ところが、これまでの技術の進歩によって、ようやくAIを実用化するための基盤が揃ってきたように思われます。Androidの生みの親アンディ・ルービン氏も、「アルファ碁」は「AIの潜在能力のごく一部」に過ぎず、今後さらにその応用が加速するといっています。また、「クラウドコンピューティングこそAIの頭脳であり故郷」だとも言っています。

今後は、ニューラルネット専用のチップや学習機能のハードウェア化なども進み、新しいインフラであるクラウドコンピューティングやビッグデータなどがAIを支える基盤になることでしょう。サイバー空間の安全対策やセキュリティ問題などの課題もありますが、AIがこれからの世界を変える力になることはどうやら間違いなさそうです。AIを救世主にできるのか、それとも悪魔の使いにしてしまうのか、いずれにしても、私たち人類の「考える力」が試されそうです。

 

※1 「アルファ碁」・・・グーグル傘下のディープマインド社が開発した人工知能(AI)

※2 AI・・・Artificial Intelligence(人工知能)の略

※3 ディープラーニング(深層学習)・・・機械学習の手法のひとつ。多層化されたニューラルネットから構成されており、マシンが学習データから自動的に特徴やルールを抽出する。

以下の文献を参考にさせていただきました。

日経ビジネスONLINE 「AIの「人間超え」、その時トップ囲碁棋士は」 高尾紳路 (日経BP社) 2016/3/19

 

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