問題解決の心

長谷寺

長谷時(真田氏の菩提寺)
 幸隆夫妻、昌幸の墓がある。

真田氏本城跡

真田氏本城跡

信綱寺遠景

信綱寺遠景
長篠の戦いで討死した幸隆の長男信綱夫妻の墓がある。

 

先日、真田の里を巡る機会がありました。真田幸村(信繁)の父昌幸や祖父幸隆にゆかりの寺院や城跡などを散策し、歴史の重さとロマンを身近に感じることができました。いよいよ大河ドラマ「真田丸」も始まります。改めて戦国の時代に思いを馳せてみたいと思っています。

今回は、私と問題解決との出会いについてお話ししたいと思います。話は、会社に入ってソフトウェアの開発を始めた頃にさかのぼります。もう40年近く前のことですが・・・

もちろん、まだPCが生まれる前で、ソフトウェアのことなど、ほとんど知られていない時代でした。私も、訳も分からないままにそんな世界に飛びこんだのです。

ソフトウェアの開発では、不具合(バグと呼ばれています)の改修がつきものです。当時は、今のように便利な開発ツールがあるわけでもなく、多分に感覚的なバグ探し、バグ潰しでした。感覚を解き澄ませて、ちょっとしたコンピュータの動きや表示されるメッセージなどからバグを見つけていくのです。まずこの辺りがあやしい、とアタリをつけるのですが、先輩は事もなげにやってしまいます。直観が働くのでしょう。そんな先輩の鋭さにはいつも驚かされていました。何時になったら自分も先輩のようになれるのだろう、と途方にくれたものです。

もちろん、誰もバグ探しのコツを教えてはくれません。ところが、不思議なもので、見よう見まねでやっていたことが、だんだんと身に付いてくるものです。先輩は日頃は厳しいのですが、仕事を離れると、お酒を飲みながらいろいろな話をしてくれました。そんなおかげもあったのかもしれません。先輩の話の中に、「厄介なバグは夢の中で見つける」というものがありました。そんなことがあるのかと半信半疑だったのですが、実際に経験することになろうとは、思ってもみませんでした。

システムの保守を担当することになってしばらく経った頃、不具合発生の連絡が入りました。なんとしても解決してやろう、とひとり現地に向かったのですが、この不具合はとても難問でした。不具合を起こそうとしても、なかなか再現できないのです。起きてほしい時にはなかなか起こらないものです。そうこうするうちに、一日が過ぎ、二日が過ぎてしまいました。

ようやく現象は分かったのですが、その原因がなかなか分かりません。不具合の現象から様々な仮説を立てるのですが、どれも当たりませんでした。今度こそ間違いない、と思っても、裏切られてしまうのです。正直、逃げ出したくなりました。そうこうしているうちに、とうとう夢の中でバグ探しを始めていたのです。よっぽど追い込まれていたのでしょう。夢の中で見つけたヒントをたよりに、ようやく不具合の原因にたどり着き、無事バグを修正することができました。今となっては、その原因が何だったのか覚えてはいませんが、たしか、複数の原因が絡んでいたように記憶しています。解決までに、ちょうど一週間が過ぎていました。

今思えば、この一週間、あきらめずに一人でバグと向き合ったことが、その後の私に大きな影響を与えてくれたように思います。その後も、いろいろと困難な場面を経験しましたが、その時の経験があったおかげで、どうにか乗り越えてこられたと思っています。ちょうどその頃、問題解決で有名なワインバーグ先生を知りました。私が実際に経験したことから、ワインバーグ先生の話に共感できるところも多く、ソフトウェア開発と問題発見・問題解決に共通する点に気づくことができました。

私たちのまわりにはいろいろな問題がありますし、予期しない問題も起こるものです。そうは言っても、できれば問題には関わり合いたくないのが人情でしょう。また、感情的な行き違いが、解決を一層難しくしてしまうこともあります。でも、問題から目を背けてしまっては、問題を解決することはできません。まず問題と向き合うことが、解決への第一歩なのです。また、最初に問題を見誤ってしまうと、その解決をこじらせ、もぐら叩きの迷路に迷い込むことになりかねません。問題解決は、最初が肝心なのです。まずは、問題を冷静に受け止め、問題の本当の姿を知ろうとすることです。問題が起きると、つい解決を急いでしまいますが、そんなことも問題を見誤ってしまう一因かもしれません。

どんなに困難に見える問題にも、必ず解決策や解決の糸口があるはずです。また、問題解決に取り組むことで、新しい発見や気づきが生まれ、ピンチをチャンスに変えるヒントに出会うこともあります。そのためにも、問題に向き合い、解決をあきらめない心を育てることが大切だと思うのです。

 

「私は頭が良いわけではない。ただ人よりも長い時間、問題と向き合うようにしているだけである。」

アインシュタイン

 

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